亀の進軍、甲羅は割れて

4月6日付東京新聞投稿欄より。

異変の前兆あるのかも
自営業 芹沢由美・49歳(静岡県沼津市

3月29日付解説面「こちら編集委員室」に、地震前日の異様な雲のことが書かれていました。私も、今年に入ってから何度か、「地震雲」といわれるような筋状の雲を目にしていました。
特に同月15日の静岡県富士宮市震度6という地震の前日、狩野川沿いを歩いていると、なんだかいつもと違って、カモメがやけにたくさん飛び交っているのに気付きました。空を見上げると、不思議な筋状の雲が、あちこちにのびていて、「また地震が来るのか」と不安になりました。そして、大きな地震が実際に起こりました。
後日、知人にその話をすると、知人も
地震前日、近所の人がどこから現れたのか、亀の大群がその人の家を目指して行進していくのを見たと言っていた
と話してくれました。しかも、亀の甲羅が割れていたそうです。
自然には、本当はたくさんのサインが隠れていて、気がつかないのは人間だけなのかもしれません。

なんだか、明治の新聞を読んでいるような錯覚にとらわれてしまいました。
もし甲羅の割れた亀の大群が自分ちに向かって行進していたら、俺だったら気になってしょうがないので、最後まで見届けると思うんですが、その「近所の人」はどうしたんでしょう。

それはそれとして、今回の震災クラスだと出ないかなあ、予言獣。


ちなみに、件の(あ、ダジャレだ!)「こちら編集委員室」記事はこういうもの。

宏観異常は地震と無縁なのか

東京・霞が関の官庁街に近いビルの7階にある編集委員室。ふと、窓の外を見ると、日比谷公園の向こうに広がる空が異様な黒い雲に覆われ、雲の切れ間からピンクの空間がのぞく。思わず同僚に「あれが地震雲だとしたら巨大な地震がくるぞ」と語りかけた。10日午後、東日本大震災が起きる丸1日前のことだ。
中学の科学部で気象観測を教えられ、長じて、奈良市長などを歴任した故鍵田忠三郎氏の『これが地震雲だ―雲はウソをつかない』(中日新聞社刊)に触発され我流ながら地震雲の観察を続けてきたので、空の異変に気付くのはいわば習い性。それでなくとも、今年は年明け以来、連日のように地震雲とおぼしき雲が現れ、大いに気になっていた。
雲のほかにも地震の“前兆”とされる現象として、電磁波や大気イオン濃度の変化、地下水の水位・水質の変化、発光現象、動物の異常行動などが知られており、まとめて宏観異常現象と呼ばれる。しかし、地震学者の多くは「時、場所、規模を予測してこそ地震予知」とし、宏観異常現象と地震の関係を否定するどころか、オカルト扱いさえする。分からないことを解明するのが科学する心ではないのかといいたくもなる。
(魚住徹)

まあ、たしかに今の段階では「予知」にはならないよなあ。後付けでしかないもの。漠然としていて、かえってパニックを引き起こしかねない。
もっとも、科学者のほうも「時、場所、規模を予測」すること自体できてないんだから、「否定」や「オカルト扱い」も、ちょっと大人げないよな。

ただ、ひとつはっきりと言えるのは、昨夜の余震はおろか、3.11ですら最初は寝ていたうちの猫は当てにならない。

これが地震雲だ―雲はウソをつかない

これが地震雲だ―雲はウソをつかない