永遠の仔猫たち その2 帰って来た男(カラーつき)

10月1日(火)

ついにふく去勢の当日。今回も前夜からメシ抜きのふくを連れて病院に。夕方頃にはタマを取られて、念のため1晩泊まるとのこと。
預けて帰ってくるとあんこがおかしい。異様に甘えてまとわりついてくる。生まれて初めて猫1匹、しかも俺とふくが一緒にいなくなり、妻と2人きりという状況に寂しくてたまらずパニクってしまったらしい。とにかく甘く弱々しく鳴きながら、俺たちにベタベタして離れない。そうかと思うと突然立ち上がって家の中を一通り見回ってくるのは、妻曰くふくを探しているのではなかろうかと。俺が仕事に出ていった後は、何度も玄関へ様子を見に行っていたらしい。何とも不憫でたまらない一方で、正直あんこの甘えっぷりを満喫する我々であった。普段はあんこが甘えているとふくが邪魔しに来るからね。

翌日、退院するふくを迎えに。初めて独りぼっちを経験した後の涙の対面――と思いきや、俺に見向きもしない。怒っている。ひたすら怒っている。エリザベスカラーなんぞつけられて。先生に手術の様子を写真で説明してもらい、同じ雄として金玉が縮みあがるような思いを味わって帰宅。
いよいよ感動の兄妹再会――となりかけたところでバッグから出てきた兄の異様さに、走り寄った妹はぎょっとなる。

一方兄は重い頭をぶんぶん振り立てながら、留守中異常がなかったかどうか家中をパトロールして回るが、とにかくぶつかる、通れない、登れないで思うように動けずイライラが募っていく。餌や水も顔を近づければ近づけるだけ、カラーに押されて遠ざかることに。さらにはふくの一番の楽しみである、座って自分のお腹をチュウチュウ吸うことも出来ない。どんどん険しい顔になっていくふくさん。カラーが取れるまでの1週間、果たして無事乗り切れるのか?