下の人などいない!

美濃輪、仰天トレで怪物退治=PRIDE武士道
「シルバはサンシャイン、僕はキン肉マン
スポーツナビ

多摩川、富士山、バッティングセンターと、試合のたびに破天荒なトレーニングを我々に披露する美濃輪育久。「PRIDE武士道〓其の拾―」(4月2日 有明コロシアム)で身長2メートル30センチの大巨人ジャイアント・シルバ(ブラジル)に向かう今回も、我々を驚かすようなトレーニングを考えているに違いない。そう思って待っていた公開練習で、美濃輪は都内のPRIDE道場を公開場所に指定してきた。いささか拍子抜けした感を持ちつつ、PRIDE道場に足を踏み入れた瞬間、驚がくの練習風景が我々を待ち受けていた。


戦闘竜+滑川=大巨人


美濃輪が相対していたのは、まさに仮想シルバだった。シルバを越える思われる身長に、長いリーチ。リアル・プロレスラーは、その相手に間合いをあけてタックルを入れようとした。1分1ラウンドの短い“スパーリング”ではあったが、必死で美濃輪は戦っていた。

仮想シルバの正体は対戦経験のある戦闘竜と、滑川康仁だった。戦闘竜が滑川を肩車し、滑川は竹刀を持った。美濃輪は遠めのポジションからタックルに入ったり、パンチを入れたり。時折、竹刀が頭に入ったが、これも滑川の腕プラス竹刀でシルバの手の長さと仮定し、振り落とす際にどれほどの痛みを伴うものなのか知るためだという。
「でも、手の痛さは、おそらくぜんぜん違う」(美濃輪)

仰天トレを終えた美濃輪は、周りを取り囲んだ記者に対して、

等身大の大きさを考えた結果、こうなりました

と真顔で話し始めた。
「なぜ、1分1Rなのか」との質問には、

下の人(戦闘竜)が1分が限界なので

と、もっともな答。

「シルバは、つくりは人間だけど、怪物だと思います」

という。

「自分の体と相手の体を一致する攻撃をしたい」(美濃輪)。

怪物退治のために編み出したのが、このトレーニングだった。

戦闘竜は「僕もテイクダウンできた。ボディー狙って、片足とれば問題ない」と太鼓判を押す。「試合まで1週間ある。もっとクリアに、リアルに相手をイメージできるようにしたい」(美濃輪)


「新技は完成していません」


イメージトレーニングにも真剣に取り組む。浮かび上がる姿は「漫画のように勝っている」自らの姿。「漫画の対決に近いイメージ。『キン肉マン』に近いですかね」と遠くを見つめた。
イメージで最後に出てくるフィニッシュホールドについては「今は言えない」と口を閉ざすが、「新技は完成していません」という口ぶりから見ると、本番で何か驚くべき技を出すことを考えているようだ。

「例えるなら、シルバはサンシャイン、僕はキン肉マン。漫画のようなことをリアルタイムで実現させたい」。少年のように美濃輪の目が輝く。


無差別級GP狙う


「この試合内容と結果で(無差別級)グランプリの出場権がかかっていると思っている」という美濃輪。怪物を退治を終えても、どう猛な野獣たちが待ち構える舞台に自ら足を踏み入れるつもりだ。武士道トーナメントの開催も予定されているが、こちらのほうは、まったく興味がなさそう。

「負けられないです。勝ちます」(美濃輪)。果たしてリアル・プロレスラーは漫画のような劇的な勝利を飾り、次なるステージに進むことができるのだろうか。

来たーっ! 美濃輪の特訓!
でも……なんか普通だ……。いや、これを「普通」と考えてはいけませんが。
しかし、これは「キン肉マン」というより、ジム・マジンガじゃないの、「バイオレンスジャック」の。