小さな影は青い影

今日飲みに行った店は新装開店一周年で、中ジョッキが一杯200円。ここぞと近所の会社の連中が結構な人数で押しかけてきていて、まさに「メートルが上がった」としか言いようのない状態である。
ようやくお開きとなるところで、周囲から指名された40代の男性社員が立ち上がり、呂律の回らない挨拶を始めた。


「えんたけなわではございますが、みなさまきょうはおつかれさまでした。ここにおいでのみなさまの、ごけんこうとますますのごはってんをおいのりいたしまして――
だいじょ〜ぶ!


その瞬間、全体の半数ほどになる、ある一定の年代の男性社員連中がべろんべろんになりながらも、一斉に右の親指を鼻の頭に当て手のひらをひらりとめくった。打ち合わせも何もなしである。
恐るべし、刷り込み。