国際兄弟仁義

読売新聞「編集手帳」(3月14日付)

古い任俠映画では時々、身分や貫禄の上下関係を表す言葉が語られる。例えば、「七三の兄弟分」「四分六の兄弟分」「五厘下がりの兄弟分」などである◆五厘下がりとは五分五厘と四分五厘、兄貴株と舎弟がほぼ互角に近い関係を言うらしい。両者の関係は、いま、どうなっているのだろう。ならず者然とした北朝鮮と、その兄貴分として後ろ盾になってきた中国である◆米国が空母を朝鮮半島に派遣し、北朝鮮をめぐる軍事的緊張が高まっている。事態がここに至るまで、核開発に取り憑かれた金正恩政権をかばい立てし、結果として暴走を手助けしてきた中国の罪は小さくない。けっして不得意ではない“脅しすかし”の技術も総動員して、弟分に自重を促すときである◆やるべきことをやらないまま放っておく「すっぽかす」に、語源の珍説がある。江戸期「渤海捨」(=渤海に捨てる)の三文字に由来するという。地図で北京と平壌を結ぶとき、渤海はその線上に横たわる海域である◆中国もまさか、使命と責任を渤海に捨てはしまい。兄貴分の貫禄の見せどころである。

言ってやった感が滲み出てるけど、普通はここから容易に、ならず者然とした兄貴分アメリカと、結果として暴走を手助けしてきた舎弟・日本という図式を連想して情けなくなると思うの。
けっして得意ではない”なだめすかし”の技術も総動員して、兄貴分に自重を促すときである、とか。